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こんにちは、卜部です。このブログでも何度か話題として出している「カスハラ」。少し前にニュースになっていた、カスハラが原因で某企業の従業員が自死してしまったお話を知っていますか?その件からも、カスハラは単に「人の心を疲れさせてしまう原因」「仕事を辞めたくなる原因」となるだけではないことが分かります。ここ数年でよく耳にするようになったこのカスハラの問題を、もう一度違う角度で捉え直すきっかけにしていただければと思います。

 

【目次】

① ある住宅メーカー勤務の若手社員が受けたカスハラ被害の概要

②アンケートから見るカスハラ被害の実態

 

ある住宅メーカー勤務の若手社員が受けたカスハラ被害の概要

2020年8月に「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が原因となった自死事例がありました。
亡くなったのは、ある住宅メーカーに勤務していた当時24歳の男性社員。
注文住宅販売の営業を担当していた男性社員は、ある日新築住宅を建設中の顧客に追加費用が必要になったことを説明しに訪問をしました。しかし、その訪問がきっかけで顧客から叱責を受け、徐々に理不尽な要求が増え、最終的にカスハラへ発展していきました。

具体的には

・業者の路上駐車をめぐり強い口調でクレームを受けた

・業者が汚した隣の敷地の外壁を清掃させられた

・休日に電話に出なかったことを理由に叱責を受けた

・「そんなんじゃ銭なんか払えねえぞ」「すいませんで済むか、おめえ」などの暴言を受けた

・顧客宅を訪れた際、「バカ」などの暴言を使って20分ほど一方的に責め立てられた

こうしたカスハラ被害を受けていました。

これらの被害が重なり、男性社員は精神的に追い詰められ、最終的に社員寮の自室から飛び降りて命を絶つという悲劇的な結末を迎えてしまいました。
この事件は、顧客からの著しい迷惑行為(カスハラ)と自殺に因果関係があるとして、労働基準監督署が労災認定した異例の出来事となりました。

 

アンケートから見るカスハラ被害の実態

 
先述のようなカスハラ被害は、他の様々な業種でも発生しています。
ここからは、弊社が独自に調査したカスハラに関するアンケートの結果をもとに、どのようなカスハラが多いのか、カスハラが起こるきっかけ・原因は何かについて紹介します。


カスハラ被害で最も多いのは「侮辱・ひどい暴言」

まず最初に紹介するのは「これまでにあなたが嫌な思いをした原因となる顧客の言動で、当てはまるものをすべて教えてください」という質問の回答結果です。
カスハラを受けた人たちの被害内容にどのようなものが多いか見ていきましょう。


これまでにカスハラを受けた経験がある人に調査したところ、カスハラの内容として一番多かったのは「侮辱・ひどい暴言」で69.3%、二番目に多かったのは「同じ内容を繰り返すクレーム」で48.2%でした。

先ほど紹介した事件でも、「バカ」や「すいませんで済むか」などの暴言や侮辱を受けたことに加え、20分ほど一方的に責め立てられていたことが明らかになっています。
アンケート結果からもわかる通り、このような暴言や侮辱などの言動は、多くのカスハラ被害者が経験している典型的なパターンです。

さらに「長時間にわたる不法滞在・居座り等」(18.6%)や「商品や金銭の要求」(17.1%)も無視できない割合で発生しており、事件の中でも正当な費用を払うことを拒否するなど似たような行為がありました。

カスハラ被害を受ける場合、嫌な思いをする際の要因が一つだけではなく、複数の要因が重なりあうことも多々あります。
そのため対策も一様ではなく、それぞれの状況に応じて適切に対応する必要があると言えるでしょう。

 

「商品・サービスへの不満」からエスカレートするカスハラ

次に紹介するのは「カスハラを受けたきっかけを教えてください」という質問の回答結果です。
どのような状況がカスハラに繋がるのでしょうか。

カスハラ被害に遭ったことがある人に聞いた、被害を受けたきっかけで一番多い回答は「商品・サービスへの不満」で52.3%でした。

例えば今回紹介した件も、最初のきっかけは「追加費用が必要になった」という説明から始まっており「商品・サービスの不満」につながる要因だったことがうかがえます。の顧客にとっては想定外の出費であり、不安や不満を感じるのは自然なことなのかもしれません。

本来であれば、顧客の不安や不満に対して適切な説明や対応がなされ、お互いに理解した上で解決に至るはずですが、カスハラのケースでは小さな不満が徐々にエスカレートし、最終的には担当者個人に対する攻撃的な言動へと変化していきます。

今回のケースについても、“はじめは”サービス関連に対するクレームだったものの、次第に明らかに担当者(被害者)個人に向けた攻撃に変化をしています。

 

最初のクレームのきっかけが自社商品やサービスへの不満であったとしても、加害者側の心理の変化などによっては本人に対する攻撃になることもあるため、自社のサービス改善などの対策が必ずしもカスハラを鎮静化する方法にはならないことがある可能性も考慮しましょう。

 

カスハラを受けても「相談できない」人もいる

次に紹介するのは「カスハラを受けたことを誰かに相談しましたか?」という質問の回答結果です。


グラフの通り、カスハラを受けたことを相談しなかったと回答した人は41.7%でした。
カスハラは被害者が誰にも相談しない人が一定数いることも一つの問題として挙げられます。

また、先の回答で「相談していない」と答えた方に「相談しなかった1番の理由」を質問したところ、下の結果が出ました。

「誰かに言っても無駄だと思ったから」という回答が50.6%と最も多くを占め、次に「自分で解決するものだと思ったから」が25.3%、「どこに相談したらいいのかわからない」が15.7%と続いています。

 

今回紹介した件の被害者も、ひどい被害に遭っていたにも関わらず、上司にも親にも相談をしていなかったことが明らかになっています。
亡くなる2ヶ月前には「みんな忙しそうで助けてもらえる時間がない」と本人が漏らしていたことも分かっており、両親も息子の悩みに気づけなかったと後悔しています。

アンケート結果からも「誰に相談しても解決しない」と思い込み、多くの被害者がカスハラ問題の解決そのものを諦めている現状があります。
しかし一人で抱え込んだ結果、最悪の場合は自死という取り返しのつかない結果を招いてしまう可能性もあるため、早期対策を行うことで、カスハラ被害者の不安や負担を少しでも取り除くことが重要です。

これまで弊社のアンケートをもとに、カスハラ被害の実態について紹介しました。
カスハラ被害の要因が単純なものではなく複雑に絡まっているものであり、カスハラ被害者は被害を受けても相談しても意味がないと思っている人が多い、ということがアンケートの結果からわかりました。

社会の意識が変わり、労働環境が見直されている今の時代、カスハラ対策は企業にとって重要な課題です。
従業員が安心して働ける環境づくりを進めることも、企業の責任と言えるでしょう。

 

今回はカスタマーハラスメント(カスハラ)の深刻な事例とよくあるカスハラの内容・状況について紹介しました。
アンケート結果からも、カスハラは商品やサービスへの不満から始まり、次第に個人に対する攻撃的な言動へとエスカレートしていく傾向があることが分かります。今回紹介した痛ましい事例も、まさにこのパターンを辿っています。

また、カスハラ対策を事前に整えておくことが重要であることも紹介しました。
従業員が安心して働ける環境を作ることが求められる現代で、カスハラ対策を整えることは企業の責任の一つです。

 

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