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こんにちは、卜部です!前回は、思い込みが原因で起こるインターネット上のトラブルを紹介しました。記事を読んだ方には、インターネットの持つ影響力を理解していただけたのではないでしょうか。今回も引き続きインターネット上のコミュニケーションに関するトラブルについてお話します。つい最近では、14歳の女子中学生が数年前に起きた事故の遺族に脅迫メールを送り、誹謗中傷で書類送検された事件がありました。今は小中学生も当然のようにネットに触れられる環境にあるので、より「ネットリテラシー」の重要性が高まっていますよね。

今回は前回よりも、より大きな事態に発展した事例を紹介します。私も好きでよく観ていた恋愛リアリティーショーで起きたトラブルもその1つ。一度炎上してしまうと取り返しのつかない事態にまで発展し得るインターネット上のトラブル。いざという時に加害者や被害者にならないよう、本記事がネットリテラシーを見つめ直すきっかけになればと思います。

 

目次

①インターネット上で“ネガティブな”クチコミが拡散し大ごとに

②ネットでの過剰な被害者意識が罰したい欲へ発展

③顔を知らない人同士のトラブルは大きなトラブルに発展しやすい?

 

 

 インターネット上で“ネガティブな”クチコミが拡散し大ごとに


■事例:某恋愛リアリティショー出演者の自死問題

2020年、某恋愛リアリティーショーに出演していた女性が亡くなった。その原因は、番組内での彼女の言動に関する誹謗中傷がSNSで広まったことにある。番組のコメンテーターが出演者をイジるような発言をしたことも相まって、女性出演者へのヘイトの投稿やリツイートが頻発。結果、ネット上での誹謗中傷に耐えられなくなり彼女は自ら命を断ったとされている。

女性出演者の母は、制作会社、TV会社、SNS投稿者らを提訴した。これに対して、制作会社は「係争中につきコメントは控える」、TV会社は「適切に対応する」とコメントした。放送倫理・番組機構(BPO)は、放送倫理上問題があったことを認めるコメントを発表している。

一人の人物から始まった心無い一言も、周りの便乗や拡散によって投稿数が増加していくことで強い攻撃になり得ます。リツイートは「意見に賛同し拡散している」という意味合いを持つことから、リツイートをした人も “加害者”として扱われる場合があります。今回の事例では、女性出演者をインターネット上でリツイートした男性も誹謗中傷で訴えられていることから、第三者が間接的にした発言であっても誹謗中傷となることが証明されました。

一度ネット上で発信すると、その後削除したとしてもリツイートやスクリーンショットなどが残ってしまうのがインターネットの怖いところです。特にSNSで発信する際は、その場の勢いでリアクションをする前に、一度自身が投稿しようとしている内容を見直す必要があります。“本人が目にしたらどう思うか”という意識を常に持ってSNSを利用すると、投稿内容が適切か不適切か判断しやすくなるかもしれません。

 

 

ネットでの過剰な被害者意識が罰したい欲へ発展


■事例:秋葉原通り魔事件

ある派遣社員の男性が掲示板にスレッドを立ち上げ、自虐ネタを書き込んだ。男性は思いのほかネット上の反応が多かったことに快感を覚え、次々と書き込みを行った。注目を集めるためかその内容は次第にエスカレートしていき、ついには殺人予告までもを書き込むようになった。それを面白がった人達が書き込み内容を真似したり、スレッドを荒らしたりするようになり、男性は苛立ちや孤独感を感じるようになっていった。彼が模倣サイトの運営主に自分のなりすましをやめるように警告をするも事態は変わらず、掲示板荒らしに対する抗議の最終手段として、秋葉原で17人を巻き込む無差別殺人を起こしてしまった。

東京地裁は2011年3月、男性に死刑判決を下した。

苛立ちや不満の感情によってトラブル相手を許せなくなると、自身では収集がつかなくなってしまうため、大ごとになる前に対処が必要です。顔の見えないインターネット上ならばなおさら、一度負の感情が生まれてしまうとなかなか抑えられないもの。
今回の事例は、インターネットを自分の居場所だと思っていた加害者男性が『仲間に裏切られた』と思い、
感情的になってしまったことが原因です。だからといって、無関係の人たちを傷つけるようなことがあってはなりません。ネットに夢中になってのめり込んでしまう前に、一度ネットから離れてみることや第三者に相談することが重要です。

 

 

顔を知らない人同士のトラブルは大きなトラブルに発展しやすい?

SNSなどのネット上でのやりとりでは、表情や語調、温度感が伝わりにくいため、なにげない一言でもトラブルに発展してしまう可能性があります。特に、不用意な書き込みやリアクションは誤解を招きやすく、本人の意図するものとは違った意味合いで相手に伝わってしまうことも少なくありません。SNSで発信する際は、一度投稿を保留にし内容を寝かせてみるのも有効的です。

わたくし卜部が普段近隣トラブルの相談を受けていて思うのは、最近はほとんどの人がお隣さんの顔や名前を知らないにも関わらず、いざ騒音トラブルが起きると、攻撃的になる人が多いということです。壁を叩いて隣の人に自分の不快な気持ちを過剰にアピールする行為は、顔が見えないからこそできてしまうアクションだとも言えます。大きなトラブルを回避するには、近隣の人と顔見知りになっておくというのも有効な手段です。

今回はインターネット上のトラブルを紹介しましたが、リアルの世界でも不用意な言動をきっかけとした近隣トラブルは増えています。ネットであれリアルであれ、余計なリアクションは火に油を注ぐだけ。一度ネットから離れたり、第三者を介入させたりといった客観的な視点を取り入れることがネットリテラシーを見つめ直すことにつながるのではないでしょうか。